Λάδι Βιώσας

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最近読んだ本

Ethereum 採掘の記事を書いたせいか、ここのところ PV が微妙に増えており、暗号通貨ラブなブログと思われたくないけど、時間がなさすぎてネタもないので、最近読んだ本のレビューをしてお茶を濁してみます。以下の本は採掘とは全く無関係なのでご了承下さい。

トランプ大統領がパリ協定離脱するとのニュースを聞いて、トランプ支持のピーターティールについて深く知りたくなり、今更ですが読みました↓

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

今まで意識高い系の人が読む本だと思って敬遠していたのだけど、とても面白い本でした。内容の詳細はアマゾンレビューに譲って、ざっくりまとめると「賛成する人がほとんどいない重要な真実は何か?」を探し、過当競争を避けこっそり独占しろ、という事が事例をあげて繰り返し書かれています。

本書には、ペイパル創業者6人中4人が学生時代に爆弾を作っていたエピソードがありますが、そんくらいテストステロン出まくりな彼らなのに「競争を避け独占しろ」と繰り返し説いているのが、私にとってはとても印象に残りました。

お次は人工知能本、NHKスペシャル等で機会ある毎に羽生三冠は、人工知能に対する知見を開陳されているので、それらを見ている方にとっては復習的な感じの書籍です↓

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

人工知能の核心 (NHK出版新書 511)

本書を通しての主旨は「人工知能機械学習といった技術は人間の能力を補完するものであり人の代替ではない」というものですが、個人的にも同感です。しっかし、非技術者の書いた書物の中に、TensorFlow、Torch、CNTK、Chainer の紹介があるってすげーと思うのは私だけでしょうか。

最後、コンピューター将棋の歴史から、今となってはAIが人間を超えているのでは?という現実を突きつけられている将棋界の様々な世代の棋士のAIに対する視点をインタビュー形式でまとめた本↓

不屈の棋士 (講談社現代新書)

不屈の棋士 (講談社現代新書)

第2章の「AI>人間」な環境で奨励会を過ごした若手棋士の棋力向上への取り組み方がとても面白い。ざっくりまとめると

  • レーティング重視
  • フラッドゲート(コンピューター同士が対戦する場)の棋譜を研究する
  • ソフトを使わない人間同士の研究会はしない
  • 最強ソフトの最新バージョンを使える棋士が有利

藤井四段はソフトに対してどういう視点を持っているんだろうなあ・・・

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ディープラーニングについて

あちこちで話題になりすぎて既にバズワードとなっているディープラーニング(深層学習)。今までの機械学習と何が違うのか知りたくて上記の本を読みつつあれこれ調べたのでざっくり所見をまとめてみます。

結論から言うと、ディープラーニングは「自動で特徴抽出をしてくれる」ということに尽きます。

今までの人工知能(っぽいもの)は、人間が対象とするデータから特徴を抜き出し、その特徴量を元にモデルを作成するという方法でした。つまり人間の行う特徴抽出作業の出来不出来によって、人工知能の性能が決まっていたわけです。

一方のディープラーニング、自動で特徴抽出(ニューラルネット)する技術は昔からありましたが、クラウドコンピューティングの進化により、膨大なマシンリソースを使ってひたすら何億千万回(←適当)も機械学習させたら、人間様のチューニングしたモデル性能を超えちゃったんだけど!という感じです。

以下に、ディープラーニングで使われているアルゴリズムを備忘録がてらざっくり載せておきます。

アルゴリズムに関しては、rishida さんのブログが大変詳しくてわかりやすいです(←私にはわかりませんけど)rishida.hatenablog.com
単純なわかりやすいニューラルネットの説明は、わたくしの昔の日記↓でも取り上げたことがあるので、興味のある方はこちらもどうぞ。

kenkiti.hatenadiary.jp

さて、、、難しい話は置いておいて、ディープラーニングで遊んでみるか否かの判断ですが、どのアルゴリズムを用いるのか、学習を何回繰り返せばよいのか、設定するパラメータをどうするか、などなどを決めて、べらぼうなマシンリソースを用いて検証する必要があり、一般人にはとても無理ぽだと思いました。ディープラーニングがあれば何でも出来る的な話は、夢のまた夢。そんなわけで、深層学習を体験したい人は GoogleDQN 先生に作って頂いたモデルでチマチマ遊ぶのが無難かな〜と思っている次第であります。

精神疾患に関する書籍レビュー

あけましておそようございます。ここのところやんごとなき事情により、統合失調症に関する書物を読み漁っており、忘れないうちに内容を備忘録的にまとめておこうと思います。

精神疾患の分類・統計

世界保健機関(WHO)の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)の第5章「精神および行動の障害」に国際的な統計基準とするために分類がまとめられています。ちなみに統合失調症は F20 で、生涯発病率は約0.85%、性差によって発病率は変わらない。地域・人種によって発病率に違いはあるが有意差は認められない。

精神疾患の原因

精神疾患はさまざまな原因によって発症するが、それらの原因は主に「心因性」「内因性」「器質性・症状性」に分類される。統合失調症は内因性に分類され、発生メカニズムは不明だが、脳内ホルモンの異常によるという説が有力である。

統合失調症の症状

急性期における陽性症状、消耗期・回復期の陰性症状と大きな二つがある。
陽性症状:幻覚、妄想、自己と他者の区別がつかなくなる自我意識の障害
陰性症状:感情、自閉、思考、意志・欲望欠如などの障害

↑ここまで教科書的な基礎知識。関係ないけど、最近 PC・Mac版の 日本語版 Kindle 出たんですね。以前は Kindle for PC は英語アカウントしか使えなかったけど、便利になりましたなー。PCでの書籍レビューが捗ります。

読んだ書籍

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

1950年にフランスで出版された本の翻訳で、統合失調症を発症したルネという少女が、著者である精神科医セシュエーの長年に渡る献身的な治療によって回復し、回復後のルネが発症中の状況を回想しながらまとめた手記です。

ルネは心因性の疾患だったんじゃないだろうか、という疑念はあるものの、抗精神薬もなく発症すると表紙写真のような鉄格子の隔離室に入れられてしまう当時の状況で、統合失調症により自己意識が解体(この疾患はそんな状況でも記憶は鮮明なのだ)してしまったルネに対し、愛情だけで立ち向かった女医セシュエーさんの想いの強さには心底感服いたしました。

永遠の厨二病患者である坂口安吾が、寝ずに仕事をするため覚せい剤を飲み、寝るために睡眠薬を飲むというデタラメな生活をおくった挙句、うつ病になって精神科に入院した時の回想録です。1949年に出版されたもので、青空文庫で無料で読めるしオススメです。

↓ここらへんのろくでもない本読むよりよっぽど面白くて、嘘のない精神科病棟の実態を描いています。あ、ろくでなし度だけは安吾も似たようなもんか・・・
ブラックジャックによろしく 9ブラックジャックによろしく 10ブラックジャックによろしく 11ブラックジャックによろしく 12ブラックジャックによろしく 13人間仮免中ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

本書の締め括りには

より良く、より正しく生きようとする人々は精神病的であり、そうでない人々は精神病的ではないが、犯罪者的なのである。

とあり、苦笑いをしつつ、妙に納得してしまいました。

統合失調症 (PHP新書)

統合失調症 (PHP新書)

締めはまともな本の紹介です。精神科医で作家でもある岡田尊司の本で、統合失調症の歴史から分類、原因、治療、社会との関わりまで幅広くまとめられています。最初に読むならこの1冊が良いかもしれない。

24ページ目からの「宇宙からのメッセージを聴く若者」という章、アマゾンの「なか身!検索」でも読めるので、時間のある人は数ページ程なので読んでみて欲しい。

自分は何の因果か、暴れている急性期の患者さんを取り押さえる機会があったのだけど、ひとしきり暴れ一旦落ち着いた時のその人の振る舞いに、本書の著者のいう崇高で神聖な何か、を感じたのであった。遠い昔は、神憑り、狐憑きなんて言われていただろうこの精神疾患には、平成のこの時代に理系脳で無宗教な私にさえ、そう感じさせる側面があるということをこのエントリーでは言いたかったのでありました。

おまけ:家族向けの書籍

統合失調症 愛と憎しみの向こう側蒼い家統合失調症 治療・ケアに役立つ実例集精神科治療の覚書 (からだの科学選書)

懐かしの本

ブログの更新が滞ってしまいました。諸々の事情で、自宅の本棚に置きっぱなしにしてあった古本を一気にスキャンスナップで処理してパソコンに取り込みました。特にブログネタもないので、取り込んだ古本の紹介をしてみます。

プログラミングを覚えるのに読んだ最初の本、1982年に発売された、すがやみつるの「こんにちはマイコン」↓です。

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元の本は裁断機でばらして捨ててしまったのだけど、アマゾンのマーケットプレイスで見たら 4,5千円の値段がついてた。もったいなかったかな・・・。

 

お次は、現役女子高生のゲームプログラマーという設定(?)の高橋はるみの本。

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本書では、なぜかお風呂に入ってる描写が多くて、読者サービスなんだろうなぁなんて思いながら当時は読んでました(←やな子供)。ゲームライブラリーの方では、一画面プログラミングが勉強になりました。有名なあるけあるけゲーム↓

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1983年のベーマガと、1986年の I/O の表紙↓

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高校生当時は、X1ユーザーだったので、Oh! MZ を愛読してました。

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この当時はまさかソフトバンクがロボットの販売をはじめるとは想像すらしてませんでした。

 

・・・というオチもなんにもない古本の紹介でした。

 

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

新入社員じゃないけど気分転換に読んでみました。本書には50個の仕事の原則が書いてありましたが、全ては以下の部分に集約されているなあ、と思ったので引用しておきます。

人間としての魅力は、一緒の時間を過ごして楽しいかどうかという点に行き着くような気がしています。(中略)そういう意味で考えると、社会人として最も大事なスキルは、一緒に仕事をして楽しいと思ってもらえるかどうかということではないでしょうか。(p188)

この本は「一緒に仕事をして楽しいと思ってもらえるための原則」と副題つけてもいいかも。その他を補足すると、食事・睡眠・運動を充分とって、一生勉強しなさいって感じかなぁ。こうして文字にしてしまうと「それ当たり前過ぎるだろ」とツッコミが入るでしょうが、当たり前のことを当たり前にするのって難しいのだよな。まぁぼちぼち頑張ろうニッポン&自分

デジタルネイティブの時代

デジタルネイティブという言葉に興味をもって買ってみたものの、積読になってたのを読んだのでレビュー。

結論からいうと、本書で述べられているデジタルネイティブは、自分の想像してたものとは全く異なりかなり期待はずれでした。筆者は76世代の経営コンサルタントの方で、本書の想定している主な読者層(ノンネイティブ)は 50〜60代あたりの経営者層を対象にしているという印象です。

内容をざっと要約すると、前半部で、バイトに遅刻するという連絡を顔文字入りの携帯メールで上司に報告する女子大生の話から始まり、しょこたんブログの紹介など、これらがデジタルネイティブのコミュニケーション方法であると説明し、平成生まれのデジタルネイティブが社会に出てくる頃には、既存のビジネススタイルがガラガラと崩れると強調します。

次章からは、ノンネイティブ層に向け、今までの文化の変遷を例に、どのようにして携帯文化、インフラなどが発達してきたかの説明、そしていかにしてネットをビジネスに組み込むかという話が続きます。最後に、デジタルネイティブな世の中でビジネスで成功する秘訣は、実は今までと同じビジネスの本質的な仕組みを知っていること、、、といった結論で終わります。すみません、私には筆者が本書で何を伝えたかったのかいまいち理解できませんでした(汗

しかし、こういうネタを活字でやるのって難しいですね。2009年5月初版の本ですが、1年足らずで現状は大きく変わっていると感じます。個人的に最近感じるのはリアルタイム化の波ですね、、、ブログからツイッターYoutubeやニコ動から、ユーストやジャスティン、ニコ生と主役がかわりつつあるように思います。自分は元々テレビみませんが、今後ますますテレビを見なくなる予感。。。

デジタルネイティブの時代

デジタルネイティブの時代

ゾーン ― 相場心理学入門

ゾーン ― 相場心理学入門
マーク・ダグラス Mark Douglas
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株を始めてもうすぐ1年くらい経ちますが、常々思うのは、証券会社が出すアナリストレポートの適当さです。いや、決して適当ではないんでしょうが、予想を信じて当たったためしがない。で、株をはじめた当初は、色んな意見に振り回されて不安になり狼狽し、変なトレードをしてしまう、という事がしょっちゅうありました。そんななか、トレードする上での心理面や心構えを説いた「ゾーン」という本があると聞き、読んでみました。

以下に印象的だった話を抜粋してみます。

そのアナリストは「ポイントアンドライン」という、チャーリー・ドラモンドが開発した手法を用いていた。ある日、二人は大豆市場を一緒に見ていた。(中略)アナリストはほとんど間違いが無いといった調子で主張した。「マーケットが抵抗線に向かったら、そこで停止して反転します。(中略)マーケットが私の計算した支持値水準まで下落したら、そこがその日の底値になるでしょう」

すると大豆市場は徐々に下落トレンドを描き始め、そのアナリストが「そこが支持値で、その日の底値になるだろう」と主張した価格まで下げていった。そしてついにそこに達したとき、会長はアナリストの方を向いて尋ねた。「ここでマーケットは動きを止め、上昇するというんだね?」。アナリストは自信を持って答えた。「間違いありません!ここが今日の安値です」。

すると突然、会長は「そんなのでたらめだ!見ていろ」と言い放ち、受話器を取って大豆の立会場に注文を回送する従業員に電話をした。「成り行きで200万ブッシェル(400枚)の売りだ」。その注文から30秒後、大豆市場は10セント下落した。会長は青ざめた顔をしたアナリストの方を向いて、そして穏やかに尋ねた。「マーケットが動きを止めるだろうと君が言ったところはどこかね?私にできるなら、だれにだってできるさ」

本書の次の段落では、株式市場ではどんなことも起こりえて、それはたった一人のトレーダーの動向にかかっている、とまとめています。当たり前じゃん、と思うかもしれませんが、実際に売買を繰り返している時は忘れているんですよね。株価が下がっているときは「こんなに下がるのはおかしい、いつか絶対上がるはずだから損切りするのはやめよう」上がっているときは「まだまだ上がるはずだから、まだ利益確定するのはやめよう」などなど。。。

トレードの感情面でのリスクを排除するには、以下の事実をきっちり認識することが必要だと著者は説いています。

  1. 何事も起こりえる。
  2. 利益を出すためには次に何が起こるか知る必要はない。
  3. 優位性を明確にする一定の可変要素には、勝ち負けがランダムに分布する。
  4. 優位性があるとは、あることが起きる可能性がもう一つの可能性よりも比較的高いことを示しているにすぎない。
  5. マーケットのどの瞬間も唯一のものである。

本書は全編にわたって、トレードする上での心理面の解説に費やされているので冗長だと思える部分も多々ありましたが、自分にとっては為になる本でした。
もっともこの本を読んだからといって、株で勝てるようになるわけではないですが、、、。