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Λάδι Βιώσας

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精神疾患に関する書籍レビュー

book

あけましておそようございます。ここのところやんごとなき事情により、統合失調症に関する書物を読み漁っており、忘れないうちに内容を備忘録的にまとめておこうと思います。

精神疾患の分類・統計

世界保健機関(WHO)の『疾病及び関連保健問題の国際統計分類』第10版(ICD-10)の第5章「精神および行動の障害」に国際的な統計基準とするために分類がまとめられています。ちなみに統合失調症は F20 で、生涯発病率は約0.85%、性差によって発病率は変わらない。地域・人種によって発病率に違いはあるが有意差は認められない。

精神疾患の原因

精神疾患はさまざまな原因によって発症するが、それらの原因は主に「心因性」「内因性」「器質性・症状性」に分類される。統合失調症は内因性に分類され、発生メカニズムは不明だが、脳内ホルモンの異常によるという説が有力である。

統合失調症の症状

急性期における陽性症状、消耗期・回復期の陰性症状と大きな二つがある。
陽性症状:幻覚、妄想、自己と他者の区別がつかなくなる自我意識の障害
陰性症状:感情、自閉、思考、意志・欲望欠如などの障害

↑ここまで教科書的な基礎知識。関係ないけど、最近 PC・Mac版の 日本語版 Kindle 出たんですね。以前は Kindle for PC は英語アカウントしか使えなかったけど、便利になりましたなー。PCでの書籍レビューが捗ります。

読んだ書籍

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

分裂病の少女の手記―心理療法による分裂病の回復過程

1950年にフランスで出版された本の翻訳で、統合失調症を発症したルネという少女が、著者である精神科医セシュエーの長年に渡る献身的な治療によって回復し、回復後のルネが発症中の状況を回想しながらまとめた手記です。

ルネは心因性の疾患だったんじゃないだろうか、という疑念はあるものの、抗精神薬もなく発症すると表紙写真のような鉄格子の隔離室に入れられてしまう当時の状況で、統合失調症により自己意識が解体(この疾患はそんな状況でも記憶は鮮明なのだ)してしまったルネに対し、愛情だけで立ち向かった女医セシュエーさんの想いの強さには心底感服いたしました。

永遠の厨二病患者である坂口安吾が、寝ずに仕事をするため覚せい剤を飲み、寝るために睡眠薬を飲むというデタラメな生活をおくった挙句、うつ病になって精神科に入院した時の回想録です。1949年に出版されたもので、青空文庫で無料で読めるしオススメです。

↓ここらへんのろくでもない本読むよりよっぽど面白くて、嘘のない精神科病棟の実態を描いています。あ、ろくでなし度だけは安吾も似たようなもんか・・・
ブラックジャックによろしく 9ブラックジャックによろしく 10ブラックジャックによろしく 11ブラックジャックによろしく 12ブラックジャックによろしく 13人間仮免中ボクには世界がこう見えていた―統合失調症闘病記 (新潮文庫)

本書の締め括りには

より良く、より正しく生きようとする人々は精神病的であり、そうでない人々は精神病的ではないが、犯罪者的なのである。

とあり、苦笑いをしつつ、妙に納得してしまいました。

統合失調症 (PHP新書)

統合失調症 (PHP新書)

締めはまともな本の紹介です。精神科医で作家でもある岡田尊司の本で、統合失調症の歴史から分類、原因、治療、社会との関わりまで幅広くまとめられています。最初に読むならこの1冊が良いかもしれない。

24ページ目からの「宇宙からのメッセージを聴く若者」という章、アマゾンの「なか身!検索」でも読めるので、時間のある人は数ページ程なので読んでみて欲しい。

自分は何の因果か、暴れている急性期の患者さんを取り押さえる機会があったのだけど、ひとしきり暴れ一旦落ち着いた時のその人の振る舞いに、本書の著者のいう崇高で神聖な何か、を感じたのであった。遠い昔は、神憑り、狐憑きなんて言われていただろうこの精神疾患には、平成のこの時代に理系脳で無宗教な私にさえ、そう感じさせる側面があるということをこのエントリーでは言いたかったのでありました。

おまけ:家族向けの書籍

統合失調症 愛と憎しみの向こう側蒼い家統合失調症 治療・ケアに役立つ実例集精神科治療の覚書 (からだの科学選書)