Λάδι Βιώσας

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スパマーを追いかけろ

ちょっと前、こんな記事が話題になりました。

スパム防止業者、スパム業者とのスパムメールの応酬に敗れる

事の発端は同社が自社の顧客に対するスパムメールの送信を止めるようスパマーに要請したこと。これが聞き入れられなかったため、同社は 52万2000の顧客企業に対し、spam に返信することでスパマーに対してDoS攻撃を発生させ、spam 送信を防止しようとした。
http://slashdot.jp/articles/06/05/20/2333253.shtml

えー?その話はなんなんだ、と思って気になっていたので、下記の本を読んでみました。で、読み終わったのでレビュー。

スパマーを追いかけろ ―スパムメールビジネスの裏側

スパマーを追いかけろ ―スパムメールビジネスの裏側

この本には、様々なパターンのスパマーが登場しますが、みんな一癖も二癖ある人達ばかりです。主人公のホークは、学生の時、ネオナチのリーダーでチェスの名人で学業優秀、その後、ネオナチグループが崩壊すると本格的にスパマーの道を歩き始め、25歳にして大金持ちになった、という人物です。

一方、スパマーを追いかけるアンチスパマーな人達は、普通の経歴の人が多い感じ。ただ活発に活動している人は女の人が多い。主婦とか。

本書では、アンチスパマーは正義、スパマーは悪、という図式だけど、読みすすめていくと、どうしてもスパマーに肩入れしたくなります。というのも、アンチスパマー側のやってることは、ニューズグループにて匿名で情報交換、そしてアンチスパマーサイトを作り、スパマーの個人情報を晒し誹謗中傷を繰り返し、業務停止に追い込む、というもの。

にもかかわらず、アンチスパマーからの報復で、自らの個人情報が晒されそうになると、アンチスパマーを引退するからやめてくれ、と言ったりする。。。

彼らの、スパムは悪だ!という姿勢は全面的にに正しいけど、やってる事はすげえ卑怯だ。

一方、スパマーは、スパムは送るけど、出来るだけクレームがこないようなやり方、効率良く大量にスパムを送る方法を常に考えている。そして、注文を受けた品物はきちんと配送し、会社組織にして事業にしてる。まぁもっとも、扱ってる商品は「ちんこが大きくなる薬」とか、そんなんばっかですが、、、

本書のあとがきで訳者も言っていますが、スパマーの方が魅力的に見えるんですよね。あくまでアンチスパマーと比べてね。あ、自分は非合法な活動=超クール!などと思っているわけではないです。念のため。

恐らく、この魅力とは、本書に出てくるスパマーは行動的であり、ある意味においては非常に正直者であるけど、アンチスパマーはこそこそしていて非常に歪んでいる、という印象から来てるんだろうな、と思います。

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まぁそんな感じで総括すると、本書は技術的な話を期待して読むと失望しますが(アンチスパマーはググったりwhoisしたりしてるだけだし)、スパマーVSアンチスパマーのドロドロな闘い読み物本としてはとても面白い本であり、こんなんじゃスラッシュドットの記事のような話になるのは当然だよなー、と納得できる内容でした。