累犯障害者
- 著:山本 譲司
- 出版社:新潮社
- 定価:1470円(税込み)
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書評データ
元衆議院議員で秘書給与流用詐欺罪で服役していた人の塀の中の障害者ルポ読了。
障害者犯罪についてちょっと整理しておくと、障害者は、一度罪を犯してしまうと福祉の援助を受けられなくなるので、出所後は、健常者よりも劣悪な環境に置かれる事になるそうです。その結果、「塀の外の方が怖い、刑務所の中は安全」と障害者たちは言い、再犯を重ね、実際刑務所の一部が福祉施設の代替となってしまっていると。
以上をふまえ、本書の前半では知的障害者の犯罪とその環境、性について、後半では聾唖者の犯罪について、障害者の生い立ちから事件に至るまでを述べています。
前半で印象に残った話は、知的障害者が犯した事で有名なレッサーパンダ帽の事件です。
この事件に関しては障害者がどうのという話より、加害者の妹が印象深かった。13歳の時に母親に死別して以来、高校にもいかずに家計を支えながら11年間知的障害者の父と兄の面倒を見続けていて、事件当時は末期がんを患っていたとのこと。
で、この妹の抱いていた唯一の夢が「最後に少しでもいいから一人暮らしがしてみたい。」この辺はかなり泣ける話でした。。。まぁ泣きませんでしたけど。妹は加害者側の人なので美談として映画とかには出来ないでしょうが、非常に印象に残る話でした。
続いて、障害者と暴力団、セックス云々という話。下世話ですが、まぁ読んで楽しい人は楽しいでしょう。(←なんだそのなげやりな態度)
後半、聾唖者について。自分は知らなかったのですが、先天的な聾唖者は言語で思考するのではなく、手話で思考しているらしいです。また、聾唖者の社会は上下関係や男女関係などへのこだわりはなく、非常に結束が固い。彼らのような集団をデフコミュニティ(deaf community)と呼ぶそうです。この辺りの詳しい話はWikipediaが参照してください(参考)。聴者と聾唖者は、日本人と外国人以上に、倫理観、行動規範などが異なっているようです。
こういった事から、罪を犯してしまった聾唖者の立場は相当厳しい。1995年以前は、刑法四〇条に「聾唖者が刑事事件を起こした場合は、その罪を問わない。あるいは、その罪を軽減する。」とあったらしいですが、本書の後半を読むと仕方ないのかも、と思えてきます。
最後に、元政治家の著者らしく、障害者が被告である刑事裁判や刑務所の更生プログラム、矯正教育についての問題点、出所後の受け入れ先、福祉の問題などをキレイにまとめています。障害者福祉について関心のある人、または下世話な意味で障害者に興味のある人、両方にとって色々と楽しめる本だなあ、と思いました。
あ、大事な事を書き忘れてました。本書は罪を犯した障害者について書かれたものですが、罪を犯す事と障害者であることには何の相関もなく、むしろ加害者より被害者になる障害者の方が何十倍も多いだろう、と著者は繰り返し述べています。そこらへん誤解のなきように。。。
サラリーマンは2度破産する
本が好き!から献本が届いたので早速レビュー。
- 著:藤川 太
- 出版社:朝日新聞社
- 定価:756円(税込み)
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書評データ
夫35歳で年収700万、嫁さんは専業主婦、こども二人の4人家族。こういった家庭だと、生涯のうち2度は破産する時期があるそうだ。その時期とは、子どもの教育費がかかる46〜60歳までの間と、60歳で定年後、65歳からの年金支給までの5年間。
無計画に生きているとこれらの時期に苦しくなるので、ライフプランを立て、節約しましょう、という内容。後半は、ほとんど保険についての話なのでそういった話に興味がある人には向いているかも。
しかし、将来設計を考えつつ、地道に節約していくライフプランの立て方を読むのはなかなかしんどいものがある。なんというか夢も希望もへったくれもない感じ。
まるで攻略本片手にテレビゲームをやるが如く、決まったレールの上を歩いていく、っていう生き方は自分には出来そうも無いなあ、、、というか、すでに僕はレールから大きく外れてますけどね。まぁしかし、優秀な人ほどレールに沿った生き方を選択する確率が高い気はする。
そんな感じで、現実を見つめつつ読み進めるのがツライ中、節約方法に関する話で良いことが書いてあった。
普通一般の家庭では、やりくり費を真っ先に節約対象にする事が多い、つまりタバコ代とかコーヒー代飲み代とかをケチるってことね、が、それは良くない、やりくり費ではなく固定費(携帯電話代や保険代、車維持費)から節約するべきだという話には大きく頷いた。
みみっちい節約法は良くないってのは、家庭だけでなく企業にもいえますね。トイレに『小便したら(小)で水を流すように』とか張り紙してあると切れそうになるもんな(←常に大で流してて注意されて張り紙された人)。話ずれました。まぁ僕は独身ですけど、上の方法について、世の中の家庭持ちの男性は激しく同意、といいたいところだろうなぁ、とか思った。
本書には家計のやりくりについていろいろ書かれてありますが、個人的に思うのは、お金を節約したいのであれば、出来るのなら親と一緒に実家に住む、ってのが最強だと思います、はい。
注文した本&積読になってる本
最近たるんでるので、ちゃんと読んでレビュー書く
ふつうのLinuxプログラミング Linuxの仕組みから学べるgccプログラミングの王道
- 作者: 青木峰郎
- 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
- 発売日: 2005/07/27
- メディア: 単行本
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Binary Hacks ―ハッカー秘伝のテクニック100選
- 作者: 高林哲,鵜飼文敏,佐藤祐介,浜地慎一郎,首藤一幸
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2006/11/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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アート・オブ・プロジェクトマネジメント ―マイクロソフトで培われた実践手法 (THEORY/IN/PRACTICE)
- 作者: Scott Berkun,村上雅章
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2006/09/07
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- 作者: デイビッドフラナガン,David Flanagan,村上列,垰井正雄,安藤進
- 出版社/メーカー: オライリー・ジャパン
- 発売日: 2000/12
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スパマーを追いかけろ
ちょっと前、こんな記事が話題になりました。
スパム防止業者、スパム業者とのスパムメールの応酬に敗れる
事の発端は同社が自社の顧客に対するスパムメールの送信を止めるようスパマーに要請したこと。これが聞き入れられなかったため、同社は 52万2000の顧客企業に対し、spam に返信することでスパマーに対してDoS攻撃を発生させ、spam 送信を防止しようとした。
http://slashdot.jp/articles/06/05/20/2333253.shtml
えー?その話はなんなんだ、と思って気になっていたので、下記の本を読んでみました。で、読み終わったのでレビュー。
- 作者: Brian McWilliams,夏目大
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2005/06/20
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この本には、様々なパターンのスパマーが登場しますが、みんな一癖も二癖ある人達ばかりです。主人公のホークは、学生の時、ネオナチのリーダーでチェスの名人で学業優秀、その後、ネオナチグループが崩壊すると本格的にスパマーの道を歩き始め、25歳にして大金持ちになった、という人物です。
一方、スパマーを追いかけるアンチスパマーな人達は、普通の経歴の人が多い感じ。ただ活発に活動している人は女の人が多い。主婦とか。
本書では、アンチスパマーは正義、スパマーは悪、という図式だけど、読みすすめていくと、どうしてもスパマーに肩入れしたくなります。というのも、アンチスパマー側のやってることは、ニューズグループにて匿名で情報交換、そしてアンチスパマーサイトを作り、スパマーの個人情報を晒し誹謗中傷を繰り返し、業務停止に追い込む、というもの。
にもかかわらず、アンチスパマーからの報復で、自らの個人情報が晒されそうになると、アンチスパマーを引退するからやめてくれ、と言ったりする。。。
彼らの、スパムは悪だ!という姿勢は全面的にに正しいけど、やってる事はすげえ卑怯だ。
一方、スパマーは、スパムは送るけど、出来るだけクレームがこないようなやり方、効率良く大量にスパムを送る方法を常に考えている。そして、注文を受けた品物はきちんと配送し、会社組織にして事業にしてる。まぁもっとも、扱ってる商品は「ちんこが大きくなる薬」とか、そんなんばっかですが、、、
本書のあとがきで訳者も言っていますが、スパマーの方が魅力的に見えるんですよね。あくまでアンチスパマーと比べてね。あ、自分は非合法な活動=超クール!などと思っているわけではないです。念のため。
恐らく、この魅力とは、本書に出てくるスパマーは行動的であり、ある意味においては非常に正直者であるけど、アンチスパマーはこそこそしていて非常に歪んでいる、という印象から来てるんだろうな、と思います。
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まぁそんな感じで総括すると、本書は技術的な話を期待して読むと失望しますが(アンチスパマーはググったりwhoisしたりしてるだけだし)、スパマーVSアンチスパマーのドロドロな闘い読み物本としてはとても面白い本であり、こんなんじゃスラッシュドットの記事のような話になるのは当然だよなー、と納得できる内容でした。
堤中納言物語
- 作者: 山岸徳平
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1963/12
- メディア: 文庫
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当時の女子の風習である、眉を抜いたり、お歯黒もつけない、年頃の女性としての身だしなみもせず、朝夕、毛虫などばかりを好んで飼う異常な性格の姫君を描く一篇。
あらすじには「異常な性格」とありますが、この姫君は至極マトモな事を言っています。
世間の人々が、花だの蝶だのと、もてはやし愛するのは、いかにも無意味なばからしいことだ。人間というものは、誠実の心があって、物の本体を追求しているのが、いかにも心だてが趣もあり、興味もある。
素晴らしいですね。しかし、こういう事ばっかり言っていると、親とか周囲の人に怒られるわけです。以下、親のセリフ。
あなたのように風変わりでいらっしゃるのは、外聞の悪い事ですよ。世の人々は容姿の美しいものを好むものです。それなのに、あなたが「見るからに気味の悪そうな毛虫をおもしろがっている」などと世間の人が聞いたとしたら、じつにみっともなくけしからんことです。
それに対してこの姫君は、
世間の風評など、私はなにも困りも苦しみもしません。どんなことでも、その根源を尋ねて、そこから末をみてこそ、物事には意味があるのです。それを「気味悪い毛虫をおもしろがっている」などというのは、まったく幼稚な愚かしい事です。この毛虫が蝶になるのですよ。
いやあ、こんな人がいたら惚れますね。この後、この姫君を一目みようとあの手この手を使った男が寄ってくるんですが、興味のある人は本屋で立ち読みでもして下さい。15ページくらいなのですぐ読めます。
この虫愛でる姫君は、風の谷のナウシカのモデルになった人として有名です。ナウシカも、虫愛づる姫君と同様に、目玉のたくさんついてる不気味な虫や腐った森の草木を愛でる変人なんですが、世間の評価は何故か「自然との共存を訴えるナウシカ」と、妙に美化されてるんですよね。なんだかなー、、、まぁいいけど。自分は虫愛づる姫君の話も、ナウシカも好きなので。
さて、、、いきなり話変わって恐縮ですが、私は周囲からパソコンオタクな人と思われているんです。ま、それはその通りなので別にいいんですけど。
で、パソコンオタクな私は、若かりし頃、アングラなサイトから集めたウイルスをたくさん自宅のPCに保存してたんですよ。これは別にウイルスをばらまいてやろうとか考えていたわけでなくて、純粋に技術的興味からウイルス収集に励んでいたんですね。この点では、全く虫愛づる姫君と同じわけです。違うと突っ込まれそうな気がしないでもないけど、全く同じです。
にもかかわらず、その当時、職場のマシンでちょっとOSが壊れたりすると、上司から「ケンキチ君!!ウイルス持ってきただろ!!」とか酷い言われようだったんですよ。会社にウイルスなんかもってかねーよ!!
そんな上司でも、ナウシカはいい映画だ、とか言うんです。僕=虫愛でる姫君=ナウシカ、なのに。けど僕はウイルス野郎扱い。まったく世の中間違ってる。
Ajaxイン・アクション欲しい!
ISBNメモ
- 作者: アンドリューハント,デビッドトーマス,Andrew Hunt,David Thomas,村上雅章
- 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
- 発売日: 2000/11
- メディア: 単行本
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